お茶と着物の関係
平成の世にあっても、和の行事に欠かせない「着物」。相手を敬い、礼を尽くす気持ちのこもった装いとして、今でも大変喜ばれます。中でも茶会の着物は特別で、開催される時期や趣旨によって選ぶ必要があります。掛け軸や茶碗、茶菓子だけでなく、着るものにまで四季を取り入れる茶会には、日本が大切にしてきた美意識と、思わず背筋が伸びる凛とした緊張感が漂い、日本の古き良き伝統の素晴らしさを味わうことができます。
茶会に相応しい着物とは?
よく「派手な着物は若いうち」といった言葉が聞かれますが、「侘び寂び」を大切にする茶会においては例え若くても、豪華な振袖や艶やかすぎる着物はNG。お祝いの席で着ることが多い色留袖も紋の数によっては可能ですが、華やかすぎるものはやめておくのがマナー。訪問着や付下げでは、品のある色味や古典柄を選びます。このように、亭主のおもてなしの邪魔にならない控えめな着物の色柄の中に、自身のやさしさや品格、思いやりなどを表現することも、茶会に招かれた者の礼儀の一つと言われています。
そうしたことから、色無地の着物は茶会に最適なものと好まれます。無地とはいえ、色合いや地模様で季節感や個性を楽しむこともできます。一つ紋の無地に染めるのが主流ですが、最近では裾にボカシを入れるなど遊びを取り入れることも多くなってきました。
帯にも心を添えて
着物は色無地が最適なように、合わせる帯も金銀糸といった華やかなものは好まれません。公家の装飾品に用いられたと言われている有職文様や「角倉金欄(すみのくらきんらん)」「有栖川錦(ありすがわにしき)」といった名物裂(めいぶつぎれ)写しの袋帯や名古屋帯なら安心して締めることができます。
茶会の内容によって着物も変わる?
茶会といっても、大小さまざま、改まったものからカジュアルなものまで、最近は多種多様になってきました。例えば、茶の湯の太祖千利休の命日あたりに行われる「利休忌」といった非常に改まった会では、茶会に合わせた色留袖や訪問着、紋入りの色無地などを着用します。逆に野点や稽古茶事などには、江戸小紋や小紋、時には洋服など気軽な装いで出かけることも。
ただし、帯留めやアクセサリー、髪飾り、ネイルといった、道具を傷つけてしまう恐れがあるものは、どの茶会においてもNG。口紅も落ちにくいタイプを使うなど気をつけるようにするのが礼儀です。
まとめ
いかがでしたか?一見堅苦しく見えてしまうお茶会での着物の作法ですが、茶道の習いが進むにつれ、なぜ華美な着物がお茶会に好ましくないのか、身をもって知ることができます。
日本人が大切にしてきた「侘び寂び」の心、今はなかなか実感する機会も少なくなってしまいましたが、お茶会を気軽に体験できる寺院や施設も多くあるので、2018年気持ちを新に着物を着て、出かけてみてはいかがでしょうか?着付けも込みで着物をレンタルできるお店もありますよ。