お花見の歴史と、春を感じるお茶について。


4月に入り温かくなってきましたが、皆さん元気にお過ごしでしょうか?気象庁の1ヵ月予報によると今年の4月は、東日本・西日本は平年並みの気温、北日本は平年より高くなるそうです。桜前線も順調に北上し、3月21日に東京・3月25日に福岡・3月30日に大阪・3月28日に名古屋と、順調に開花しているとのこと(関東より西は平年より遅めのようです)。ということで、今年もお花見シーズンがやってきました。近年のお花見と言えばお酒が付きものですが、こんな時こそ落ち着いてお茶を楽しんでみてはいかがでしょう?今回は、春とお茶についてのコラムです。

1.花見について、詳しく知っていますか?

現代日本人にとってのお花見は、「桜の下でどんちゃん騒ぎ」というイメージかもしれません。お酒はもちろんカラオケやバーベキューなども登場し、人の多さも手伝って風情を感じる余裕がないことも。しかし、元々のお花見は少し趣旨が違います。お花見の起源は2種類あり、ひとつは平安時代に嵯峨天皇が催した「花宴の節」という宴。平安貴族たちが桜を愛でながら歌を詠んだのだとか。平安時代と言えば華やかな貴族文化が花開いた時代。暴飲暴食とは無縁の、さぞかし優雅で風情のあるお花見だったことでしょう。もうひとつの桜の起源は、奈良時代における庶民の神事。冬から春への切り替わりを知らせる桜の開花は、当時の人々にとって田植えの時期をはかるサインでもありました。桜の開花は神様が下りてきたと考えられ、秋の豊作を祈願するためにお供え物が捧げられたのです。こうして桜の下で神様を祭る神事が、お花見に変化していくことになりました。

この時期は、各地で野点(のだて)のイベントも活発化!

野点とは、茶道において室外でお茶を点てることを指します。野外に緋毛氈(ひもうせん)という紅いフェルト状の敷物を広げ、野点傘を立てて自然を感じながらお茶を楽しむのです。野点の魅力は、難しい作法がなく気軽に参加できること。本格的な茶道は掛け軸や花入れ、庭の趣などにも気を配って用意しなければなりませんし、茶会の参加者は正しい作法を覚えなければならないため一般人には少しハードルが高め。しかし、野点には特別な道具がありません。極端な話、茶碗と茶筅(ちゃせん)、茶杓があれば良いとされているのです。しかも、この時期は各地の施設などが野点イベントを開催していることが多く、手ぶらで現地に行けばそれだけで大自然でお茶を楽しむことも可能。お花見のような騒がしいお酒の席が苦手な人や、ゆっくりとした時間を過ごしたい人は、野点のイベントに参加してみてはいかが?

もっともっとカジュアルに野外でお茶を!

近年は、野点を「アウトドア」と捉えて楽しむ人が増えているそうです。山登りやピクニックに日本茶を持っていけばそれも野点の一形態。元々、戦国武将たちが遠征や狩りの途中にお茶を楽しんだことが野点の始まりですから、この考え方は正しいのかもしれません。大きな雑貨店なら「携帯野点セット」のような商品も置いてありますし、金属製やプラスチック製の道具が開発され後片付けの心配もなくなりました。もちろん、個人で楽しむだけですからポットにお茶を淹れて出かけるのもアリでしょう。都会の喧騒を離れて、ひとりお茶でお花見を楽しむのも有意義ではないでしょうか。

2.春を感じるお茶、の話。

風景や空気で春を感じながら楽しむお茶は趣深いものですが、お茶そのものに春を感じることも可能です。茶葉に香りを付加したフレーバーティーは紅茶の世界ではメジャーですが、緑茶や中国茶も例外ではありません。着香方法も様々で、香料を茶葉に振りかける方法、フルーツや花びらを近くに置くことで香りを吸着させる方法、フルーツや花びらを茶葉に混ぜる方法などそれぞれ特徴があります。もちろん、購入するお店ごとにオリジナリティを感じることができるでしょう。この機会に、好みに合う桜のお茶を探してみてはいかがでしょうか?ここでは、春を感じる桜のお茶をいくつかご紹介しましょう。

慶事に桜茶(桜湯)!

桜の花の塩漬けにお湯に入れたものが桜茶です。日本茶や紅茶の原料となるチャノキの葉を使っていないため厳密な意味でのお茶ではありませんが、昔から結納などの慶事で用いられてきました。多くの方は馴染みがないと思いますが、春を感じる桜茶の香りや風味が好きで普段飲みをしているコアなファンもいるようです。ちなみに、慶事で本物のお茶を使わないのは「お茶をにごす」「茶々を入れる」などの言葉が場に合わないからだとか。

桜が香る緑茶!

近年では、桜の香りがする緑茶が色々なメーカーから発売されているようです。先にご紹介したように、大まかには香りを付着させたもの、桜の葉などをブレンドしたものがあります。また、桜の香りは「クマリン」という成分が大部分を占めているのですが、そのクマリンを豊富に含む品種は天然のお茶でありながら桜の香りがするという特徴を持っています。好みの香りを探す際には、パッケージの原材料などもしっかりチェックしましょう。

まとめ

今回は、春とお茶についてお届けしました。お花見などで派手に騒ぐのも良いですが、たまには穏やかにゆっくりお茶を楽しむのも心の栄養補給になるのではないでしょうか。余談ですが、緑茶には二日酔いの苦しさを軽減する効果もあるのでお花見の翌日に飲むと効果がありますよ。