緑茶は1日何杯まで!?緑茶の健康効果と適正量のお話。
皆さんは、1日に何杯くらい緑茶を飲んでいますか?「ご飯の時だけ」という方もいれば、「仕事をしながら四六時中飲んでいる」という方もいることでしょう。お茶は日本人にとって非常に身近な存在ですから特別意識せず口にすることがほとんどですが、近年の研究では毎日一定量を飲み続けていると健康面で色々なメリットがあると分かっています。今回は緑茶の健康効果と、飲み過ぎについてお話ししていきます。
1. 緑茶1日◎杯で◎◎の効果!?緑茶の健康効果について。
近年の健康ブームに後押しされて世界的に注目されている緑茶。がん、脳梗塞、糖尿病をはじめとする重篤な病気の予防から、食中毒、花粉症、口臭、インフルエンザの対策、ダイエットや美肌効果などなど、様々な健康効果を備えています。長い伝統を持つ飲み物ではありますが、新たな研究・調査結果は現在でも続々と発表され、その効果を再確認させられる機会がたくさんあると言えるでしょう。「緑茶1日◎杯で◎◎の効果」といった情報も多く、日本人にとっては少し意識して過ごすだけで様々な側面から健康を保つことができるのです。ここではまず、科学的に研究・調査された緑茶の効果についていくつかご紹介しましょう。
1日2杯の緑茶で、認知症を予防!
東北大大学院医学系研究科・栗山進一講師らの調査により、「緑茶を1日2杯以上飲む人は、週3杯以下の人に比べて認知障害になりにくい」ということが分かっているそうです。もともと、記憶力の衰えは脳の神経細胞が活性酸素で傷つくことが大きな原因だと考えられてきました。緑茶に含まれているカテキンは活性酸素の働きを抑えたり、神経細胞が傷つくのを防いだりする働きがあるのだとか。ちなみに、1日2杯の緑茶を飲む場合と4杯の場合では差が見られなかったそうです。
1日5杯の緑茶で、脳梗塞の危険が低下!
認知症に続いて、東北大大学院医学系研究科・栗山進一講師らの調査により、緑茶を1日5杯以上飲むと脳梗塞の死亡リスクが低下する(1日1杯未満の人に比べて男性は42%の低下・女性は62%の低下)ということが分かっています。また、脳や心臓などの循環器系疾患全体の死亡リスクも、緑茶を1日5杯以上飲む人は男性が22%・女性が31%低下するのだとか。いずれも緑茶に含まれるカテキンの効果だと考えられています。この調査は40~79歳の男女4万500人を追跡調査したものですから、信憑性も高いと言えるでしょう。
1日5杯の緑茶で、ビタミンC必要摂取量の大半が摂れる!
緑茶にはたくさんのビタミンCが含まれています。最も豊富なのは煎茶(酸化度の高い烏龍茶や紅茶、日光をさえぎって栽培する抹茶よりも豊富です)。レモンの3~5倍のビタミンCが入っているとも言われています。人間の1日のビタミンC必要摂取量は50mgですが、1杯の煎茶で12mgほど摂取できるため1日5杯飲めば必要摂取量の大半をクリアできるというワケです。色々な病気を予防してくれるビタミンCを摂るためにも、緑茶をたくさん飲みましょう。
1日7杯の緑茶で、糖尿病が改善!
静岡県立大などの研究によると、1日7杯の緑茶を飲めば糖尿病一歩手前の状態からでも血糖値の改善が見込めるのだそうです。この研究は糖尿病になりかかっている60名を2グループに分け、片方のグループだけに2ヵ月間粉末緑茶を飲ませて血糖値を調べたもの。粉末緑茶を飲んだグループは、HbA1cという糖尿病の診断基準となる指標が改善されました。カテキンの糖尿病予防効果は有名ですが、この研究によってすでに血糖値が高い人の値を下げる効果があることが分かったのだそうです。
2. 飲み過ぎは危険?緑茶の適量とは?
緑茶がもたらす様々な健康効果をご紹介してきましたが、「飲み過ぎると危険なんじゃないの?」とお考えの方もいらっしゃるでしょう。「過ぎたるは猶及(およ)ばざるが如し」ということわざもあるように、何事もやり過ぎ(摂り過ぎ)は害にもなります。水でさえ摂りすぎると中毒を起こしますし、実際アメリカでは1日に16杯のアイスティーを飲んで病院に緊急搬送された人がいたのだとか。ここでは、緑茶の過剰摂取によって起こりうる危険についてお話しししていきます。
摂りすぎ注意の成分(1)カフェイン
コーヒーのイメージが強いカフェインですが、緑茶にも含まれています。カフェインには集中力や記憶力の向上、偏頭痛の緩和、脂肪の分解促進、運動能力の向上、疲労回復、脳卒中リスクの軽減など様々な良い効果がありますが、摂り過ぎにはやはり注意が必要。極端な量を摂取すると、神経過敏や睡眠障害、顔面硬直、嘔吐、胃腸症状などがあらわれることもあります。ちなみに、WHO(世界保健機関)による1日のカフェイン摂取限度は300mg。緑茶のカフェイン量は100g(湯呑1杯)あたり20mgほどですから、1日10杯程度であれば問題ありません。
摂りすぎ注意の成分(2)タンニン
ポリフェノールの1種であるタンニンは、活性酸素の働きを抑えて老化を防いでくれる成分。そのほか、認知症や生活習慣病の予防、整腸作用、美白効果などでも知られています。摂りすぎによる副作用・害は特にありませんが(便秘になる可能性は高まるようです)、注意したいのは鉄の吸収を妨げる効果。貧血気味の方は、タンニンを含む飲料・食品の摂りすぎに注意してください。
摂りすぎ注意の成分(3)シュウ酸
緑茶には、尿路結石の原因となるシュウ酸が含まれています(緑茶に特別多く含まれているのではなく、ほとんどの食品に含まれています。シュウ酸が特に多い食品は、バナナやナッツ類、ココア、コーヒー、ほうれん草など)。ちなみに、先ほどご紹介したアイスティーの飲み過ぎで搬送されたアメリカ人は、シュウ酸が原因で腎不全を起こしたのだとか。尿路結石や腎不全など恐い病気を起こす可能性があるため、緑茶に限らず偏った飲食はひかえましょう。
まとめ
今回は緑茶の良い効果や飲み過ぎによる危険についてお届けしましたが、結論は「健康な方なら1日10杯程度ならメリットが勝る」です。ただし、コーヒーやコーラにもカフェインが含まれるため日常の健康管理は緑茶の量だけでは測れません。また、ビタミンCの摂取を緑茶だけでまかなうことにも無理があるでしょう。定期的に緑茶を飲み続けることは間違いなく健康に良い影響を与えますが、どうか「ほどほどな量」「常識的な量」を心掛けてください。