ヤムチャ文化とアフタヌーンティー文化の融合!香港のお茶事情
世界の中でも特にお茶文化で知られるのが、飲茶(ヤムチャ)の中国とアフタヌーンティーのイギリス。この2つの異なるお茶文化が融合しているのが、香港です。1997年に中国に返還されるまで、イギリスの統治下に置かれた香港には、イギリスのお茶文化が持ち込まれ、独自の発展を遂げてきました。今回は、そんな香港のお茶事情についてお伝えします。
お酒ではなく、お茶で親交を深めるのが香港のコミュニケーション
日本では友達と食事をしたり、仕事の付き合いで会食する場合、お酒を飲む機会が多いと思います。居酒屋文化が定着していて週末の夜になれば、多くの人で繁華街がにぎわうほどです。一方、香港にはお酒を酌み交わす習慣があまりありません。その代わりに定着しているのが、ヤムチャ(飲茶)を楽しむ習慣。休日には家族や友人で食事に出かけて、時間をかけてお茶と点心を味わうのが香港の文化です。
ヤムチャを楽しんだのは、上流階級の男性だけだった?
中国茶を飲みながら点心を味わうヤムチャの習慣は、ルーツをたどると宋代の時代にまでさかのぼるそうです。ですが、現在のようなスタイルで楽しむようになったのは比較的新しく清代の末期で、香港では1850年頃に広く普及したと言われています。その一方、当時は上流階級の男性のための社交場とされていたため、庶民にとっては敷居の高いものでした。ところが、1870年代になるとヤムチャの習慣が一気に大衆化して広まり、誰もが気軽に楽しめるようになっていきました。
点心との相性でお茶を選ぶのがヤムチャの基本作法
香港のヤムチャでポピュラーなお茶は6種類です。
・プーアル茶
・ジャスミン茶
・水仙(ウーロン茶の一種)
・龍井(緑茶)
・菊花(菊の花のお茶)
・寿眉(白茶の一種)
いずれのお茶を選ぶのかを決める際に重視されるのが、点心との相性です。例えば、揚げ物と合わせる場合は、消化を助けるプーアル茶。塩味の強い点心の場合は、さっぱりとした風味のウーロン茶が合うとされています。
アフタヌーンティー文化でコミュニケーション
イギリス統治の時代から今も続く、香港のもう一つのお茶文化と言えばアフタヌーンティー。香港には『3点3』という言葉がありますが、これは午後3時15分を示し、日本の「3時のおやつ」のような習慣を意味します。仕事の手をちょっと休めて、ティータイムを取り入れるのが香港の職場では定番となっていて、15分ほどの休憩が習慣です。職場やオフィスのフリースペースなどに人が集まり、思い思いのお茶やドリンクを片手に、コミュニケーションを取る光景を目にすることができます。日本のような「飲み会文化」がない香港だからこそ、こうしたティータイムがとても大切にされているのです。
香港スタイルでお茶を味わってみてはいかが?
香港のアフタヌーンティーでは、サンドイッチやスコーン、スイーツと一緒に紅茶を楽しみます。レストランに行くと、「朝食」「ランチ」「ディナー」に加えて、「ティータイム」が営業時間に設けられていて、それぞれの時間帯に適したメニューが用意されています。日本のファミリーレストランのような店でも手軽にアフタヌーンティーが味わえる一方で、クラッシックで本格的なメニューも身近にあるのが香港の魅力。リゾート産業が盛んな香港には、世界中の名門ホテルが進出していて、「ザ・ペニンシュラ香港」「ザ・リッツ・カールトン香港」「フォーシーズンズ ホテル 香港」などのアフタヌーンティーが大人気です。
お酒を控えてお茶でおもてなし
お酒よりもお茶を通じたコミュニケーションを大切にしている香港の人たち。そんな香港スタイルの食事会を開いてみてはいかがでしょうか。無理にお酒を飲まなくても、お気に入りのお茶があれば、会話も弾むかもしれません。ぜひお試しください。