いよいよやってくる新茶の季節|一番おいしく淹れる方法とは?


その年に初めて獲れる新茶。「一番茶」とも呼ばれますが、長い冬の間にたくさんの養分や栄養を貯め込んでいるため、二番茶・三番茶にはない深い味わいが魅力です。今の時期だからこそ楽しめるおいしさを、余すところなく引き出すには、新茶ならではの淹れ方のポイントがあるのをご存じでしょうか?

春は新茶の季節

その年に初めて摘採される新茶は、新鮮な味わいが人気。1年に1度だけのおいしさを楽しみにしている人も多いのではないでしょうか。新茶の摘採(てきさい)時期は、およそ4月~5月。南北に長い日本では、暖かい南の地域から順に収穫が始まっていきます。主要な産地で言えば、鹿児島で最も早く新茶が流通し、桜前線のように徐々に北上していきます。

茶摘みの最盛期は「八十八夜(はちじゅうはちや)」

「八十八夜」は、立春から88日目にあたる日のことで、毎年5月2日ごろです。なぜ年によって前後するかと言えば、日本では立春を「太陽黄経315度になった瞬間が属する日」としているから。二十四節気(にじゅうしせっき)における春の始まりであり、1年の始まりでもあるとされる日です。そこから数えて88日目にあたるのが八十八夜となり、2025年は5月1日になります。古来より気候が最も安定する時期とされていて、茶摘みはもちろん、作物の種まきや田植えなどに最適なタイミングとして、大きな目安になっています。

静岡の新茶の収穫時期は?

厳密な意味での摘採のベストタイミングは、茶の種類や茶園の立地(日当たりや標高など)によって違います。主要産地の一つである静岡県の場合は、例年4月中旬から5月中旬となっているので、新茶を楽しむならこの時期が外せません。

新茶はうま味が3倍以上

新茶が人気の理由の一つに、そのおいしさがあると言えます。単なる「初物」ではなく、二番茶以降にはない風味と香りが、大きな魅力です。その根拠は、冬の間に葉や枝にたくさんの養分を蓄え、寒い時期にじっくりと時間をかけて成長していくためです。中でも特筆すべきは、うま味や甘みの成分である「テアニン」の量が、普通の茶葉と比較して3倍以上もある点。一方、渋みや苦みの成分である「カテキン」の含有量は少ないため、ふくよかなうま味と甘みをしっかりと感じられます。逆に、気温が高く生育スピードも速い時期に収穫する茶葉は、たっぷりと日光を浴びるためカテキンの量が多く、さっぱりとした味わいに仕上るのが特徴です。

新茶のポテンシャルを引き出す淹れ方

新茶が持つ風味と香りを十分に楽しむには、ちょっとぬるめのお湯で淹れるのがポイント。新茶に限らず茶葉は、高温で煮出すほどポリフェノールの一種であるカテキンや渋みの成分であるタンニンが抽出される特徴があります。逆に、ぬるめのお湯でじっくりと時間をかけて抽出すると、うま味と甘みの成分が引き立ち、奥行きのある味わいに仕立てることが可能です。温度の目安は70度。

<新茶を入れるポイント>

・茶葉は1人前あたりティースプーン2杯分

・お湯の温度は70度が目安

・ぬるいお湯を使うので、湯呑をあらかじめ温めておく

・お湯を注いで40秒で抽出

・急須に残る最後の一滴まで味わう

ぬるめに淹れて温め直すのもおすすめ

いつもより低温で淹れるのが新茶をおいしく味わうコツですが、熱いお茶でも味わいたい!という場合は、好みの温度まで温め直すと良いでしょう。十分においしい成分が抽出されているので、温め直しても風味は変わりません。自分なりの味わい方で、ぜひ今年の新茶を楽しんでみてください。