【単位クイズ】お茶の正しい数え方は一杯?一煎?一服?


日本語にはいろんな単位がありますが、同じモノでも単位が変わるのがおもしろいところ。例えば、お米なら「一俵」「二表」と数えることもあれば、ご飯になると「一膳」「二膳」に変わります。では、お茶の場合はどうでしょう。一般的には、一杯・二杯と数えることが多いのではないでしょうか。あるいはもう少し丁寧に、一煎・二煎としている場合もあると思います。さらにお茶には、一服・二服という単位もあって、使い分けが難しいかもしれません。どうして同じお茶なのに、数え方が違うのか。お茶の歴史をひも解くと、その理由が分かります。

「杯」で数える場合

「杯」の意味を調べてみると、「器に何かを満たした量」と説明されています。少し分かりにくい日本語ですが、水でも砂でもいいので、モノが器に入った状態を「一杯」と数えるということです。同じ「杯」を単位として数えるモノには、イカがあります。イカの胴体がまるで徳利のように見えることから、「杯」が単位になっています。その一方で、イカを「匹」で数える場合もありますが、厳密には、“生き物”としてイカを数えるなら「匹」。食材として扱うなら「杯」を単にするというルールがあるようです。話がそれましたが、お茶が湯呑に入った状態であれば、「一杯」「二杯」と数えて問題ありません。

「煎」で数える場合

お茶には「煎」が単位として用いられることがあります。「一煎」「二煎」と使いたいところですが、本来は新しい茶葉を使って最初に抽出(淹れた)お茶のことを「一煎」と呼びます。同じ茶葉で二回淹れたものは「二煎」、三回なら「三煎」です。

「服」で数える場合

「服」もお茶を数える単位で、「一服」「二服」と使います。同様に「服」を使うモノといえば、薬です。「毒薬を一服盛る」というような使われ方もします。すなわち、お茶は薬としても数えることができるということ。その理由は、本来お茶は薬として常用されていたからです。その昔、日本にお茶が伝った時代には、茶葉は蒸して固めた状態に加工されていました。現代のように焙煎した葉の形になったのは、ずっと後のことです。日本初のお茶の専門書には「茶は健康に効果がある」と書かれていて、その効果・効能の高さが解説されています。つまり「茶」=「薬」であったことから、「一服」「二服」という単位で数えるようになったのです。

一休みするのも「一服」

「服」という単位は、薬を服用することから転じてお茶にも使いますが、「一服」には他の使い方もあります。我々が日常で使うのは、「一服」=「休憩」です。また、お茶と同様に、煙草を吸う際にも「一服」を使いますが、お茶と同じように煙草も薬として扱われていた名残だと言われています。だから、体を休めていたわる際の休憩を“一服する”と表現しているのです。

興味深い単位の語源

お茶だけでなく、単位の語源を調べてみるといろんなことが分かるかもしれません。例えば、生き物の単位は死んだ後に何が残るかで決まるとも言われています(所説あり)。牛や馬は一頭・二頭、空を飛ぶ鳥なら一羽・二羽です。そして人間なら、一名・二名。つまり人は死んだ後でも、ずっと名前はこの世に残り続けるということ。今回紹介した単位のルーツには、もちろん所説あります。調べてみるといろんな説が見つかるかもしれません。そんな単位にまつわる歴史や背景に思いを巡らしながら、おいしいお茶で「一服」してみてはいかがでしょうか。