お茶は育て方で味が変わる?茶畑の仕立ての違いについて知ろう


日本茶の代表品種と言われる「やぶきた」をはじめ、緑茶には数多くの品種があります。その数はざっと100種類以上にも及ぶそうですから、一口に「お茶」と言ってもさまざまな風味や特徴があり、お茶選びも楽しみの一つです。その一方で、品種だけがお茶の味を左右するわけではありません。重要な要素になるのが、茶の栽培方法。たとえ同じ品種でも、育て方の違いで味わいが大きく変わると言われています。今回は、お茶の栽培や茶畑の仕立て方について詳しく解説してみます。

お茶の味わい・風味を左右する栽培環境

同じ品種のお茶でも、産地によっておいしさに違いがあることは、よく理解できます。品質に影響するのは、茶畑の標高や気候、気温、さらには土壌や肥料などです。ここに、製造プロセスの違い、例えば茶葉を蒸す時間、揉み方、加熱の温度や時間などが加わり、お茶の個性ともう言うべきそれぞれの特徴が生まれます。

「芽数型(がすうがた)」と「芽重型(がじゅうがた)」

お茶をはじめとした農作物には、面積当たりの収穫数があります。同じ面積の畑でも、収穫量を多く栽培する方法もあれば、収穫量よりも品質を重視した栽培を選択することもあり、一概にどちらが良い・悪いとは言えません。もちろんお茶の栽培にも2つの方法があり、「芽数型(がすうがた)」「芽重型(がじゅうがた)」と呼ばれています。

芽の数を優先する「芽数型(がすうがた)」

お茶の木は、切った部分から枝が二手に分かれて成長していくため、この特性を生かして枝数を多く栽培するのが「芽数型」です。1本1本の枝は細くなりますが、葉の数が多いため、収穫量も多くなるのが最大のメリット。一定水準の品質を保ちながらも、生産性のアップを図れる栽培方法です。

芽の重さを優先する「芽重型(がじゅうがた)」

一方で、太い枝を育てて、茶葉1枚1枚に十分な養分が行き届くように育てるのが「芽重型」。できるだけ枝を切らず、収穫量よりもうま味の強さを重視したお茶に仕立てていきます。枝の本数が少ないため、大きな新芽が付くことから「芽重型」と呼ばれています。

日光量を制限する栽培方法

「芽数型」と「芽重型」の違いのほかにも、お茶の育て方にはいくつもの方法や工夫があります。その1つが、日光の量を制限して風味の良いお茶を育てる方法です。茶畑が黒や茶色のシートで覆われている光景を目にしたことがないでしょうか。これは、被覆資材とよばれるもので、お茶の木に被せて日光量を調節するために使われています。日光量を制限する理由は、被覆をした方がお茶の風味が増すからです。高級な煎茶や玉露といったお茶の栽培で、被覆資材を用いた栽培が行われています。

産地の違いにも注目して、お茶を楽しんでみませんか

亜熱帯性植物であるお茶は、寒さに強くありません。そのため、冬の寒さが厳しい東北以北では、商用を目的とした栽培はほとんど行われていません。その一方で、関東・北越以南の広い地域で、お茶が栽培されていて、多くの産地が存在します。茶畑の仕立てや産地の違いにも注目してお茶選びをしてみると、新しい発見があるかもしれません。奥深いお茶の魅力をぜひ楽しんでみてください。