お茶がおいしくなるのは水道水?それともミネラルウォーター?お茶と水の深い関係


ご自宅でお茶を沸かす時、水道水とミネラルウォーターのどちらを使っていますか?「ミネラルウォーターのほうがおいしくできるはず」という意見の方がいらっしゃると思いますが、必ずしもそうとは言い切れません。お茶の味を大きく左右する水の種類。お茶をおいしく味わうためにも、ぜひこだわりたいところです。そこで今回は、お茶に合う水の種類、そして水道水を使ったおいしいお茶の淹れ方を解説します。

ミネラルウォーターならおいしくなるとは限らない

普段お茶を淹れる時、どんな水を使っていらっしゃいますか?水道水ではなくミネラルウォーターにこだわって淹れている方も少なくないと思いますが、ミネラルウォーターなら必ずお茶がおいしくなるとは限りません。と言うのも、一般的に「硬水」に区分されるミネラルウォーターは、含まれるカルシウムイオンとマグネシウムイオンの量が多く、お茶本来の味を邪魔してしまうからです。硬度30~80mg/Lの「軟水」がお茶に適しているとされ、茶葉の香りや風味を十分に引き出してくれます。山地面積が広く短い河川が多い日本産の水はほとんどが「軟水」で、ヨーロッパ産などの多くが「硬水」に区分されています。おいしくお茶を楽しむなら、断然「軟水」がおすすめです。

水道水は硬度60mg/L前後の軟水

ミネラルウォーターは産地によって硬度が異なりますが、一方の水道水はどうでしょうか。例えば、東京都の水道水の硬度はおよそ60mg/Lになっており、軟水に区分されます。そのため、水道水はお茶を淹れるのに十分に適した水質であると言えるでしょう。ただ、蛇口から出たままの水道水には、カルキが多く含まれているため、人によっては「カルキ臭さ」が気なるかもしれません。「カルキ臭さ」は、水を消毒した際の塩素や石灰などの化学物質によって起こるため、ひと手間加えてカルキ抜きをするのがおすすめです。

お茶をおいしく味わう「カルキ抜き」のおすすめ方法

カルキ抜きには、いくつか方法があります。ここでは代表的な4つの方法をご紹介します。

浄水器を使ったカルキ抜き

いくつかあるカルキ抜きの方法の中で、もっとも手間がかからないのが浄水器の利用です。洗浄効果の高いフィルターを搭載した浄水器を設置することで、いつでも蛇口をひねるだけでカルキ抜きされた水を使うことができます。カルキ臭ささの原因となっている化学物質が除去されるだけでなく、不純物も同時に取り除かれるためおすすめの方法です。デメリットは、数ヶ月毎にフィルターカートリッジの交換が必要になること。この点を差し引いても、お茶だけでなく料理などにも利用できることは大きなメリットと言えるでしょう。

冷蔵庫保存でカルキ抜き

時間はかかりますが、手間なくカルキ抜きできるのが、冷蔵庫保存による方法です。やかんやペットボトルに水道水を汲んで、2~3日ほど冷蔵庫に保管しておくだけでカルキを除去できます。蓋を密閉してしまうと通気性が失われるため、ラップで封をして数カ所の穴をあけておくのがコツ。さらに、こまめにラップを剥がして新鮮な空気と入れ替えることでカルキの気化が促されます。

沸騰させてカルキ抜き

短時間でのカルキ抜きに適しているのが、沸騰させる方法です。3分を目安に水道水を沸騰させてカルキ成分を抜きます。完全にカルキを抜くには、20~30分の沸騰が必要ですが、長時間にわたって沸騰させるとお茶の成分を引き出すための炭酸ガスまで失われてしまうため、お茶に使う場合は3分程度に留めておきましょう。

炭を使ったカルキ抜き

竹炭や備長炭には浄化作用や消臭作用が備わっているため、この機能を利用してカルキ抜きができます。よく洗った竹炭・備長炭を水道水に入れておくことで、カルキ成分が吸着・除去されると同時に、ミネラル成分が溶け出しミネラル分の高い水質へと変化させる効果があります。高い消臭作用も手伝って、お茶に適した水を作ることが可能です。

カルキ抜きした水はすぐに使い切る

カルキ抜きした水には注意も必要です。本来、カルキは消毒・殺菌処理のために使われるものであり、カルキ抜きした水は保存期間が短くなってしまいます。そのため、カルキ抜きした水は長期の保存には向きません。できるだけ早く使い切るように注意しましょう。

水道水でも十分にお茶をおいしく楽しめる

ご紹介してきたように、ミネラルウォーターでなくてもお茶のおいしさを楽しむことは十分にできます。自分にとってやりやすい方法で水道水のカルキ抜きをして、ぜひお茶本来の豊かな香りと深い風味を楽しんでください。