快適な室内にいることが多い皆さん、熱中症予防にぜひ熱いお茶を!


暑い日が続いていますが、皆さん元気にお過ごしでしょうか?平年の梅雨明けは、東北北部が7月28日ごろ、北陸が同24日ごろ、関東・東海・近畿・中国が同21日ごろ、四国が同18日ごろ、九州南部が同14日ごろ、沖縄が6月23日ごろなのだそうです。今年もすでに全国的に梅雨明けしましたが、今年の夏は気温が高くなるのだとか。それにともなって十分な熱中症対策が求められるようです。……ということで今回は熱中症と日本茶についてのお話をお届けします。

スポーツドリンクに勝るとも劣らない!?お茶による水分補給!

熱中症対策の給水は、どのメディアでもスポーツドリンクが推奨されています。ひと昔前はお茶が良いとされていましたが、お茶(カフェイン)の持つ利尿作用が知られるようになってスポーツドリンクが推奨されるようになりました。
ところが、近年の研究ではお茶の持つ利尿作用は過度に心配する必要がないと分かってきました。体内の水分が豊富にある場合はカフェインの利尿作用は強く働きますが、体内水分量の減少とともに作用は弱くなります。つまり、お茶を飲めば飲むほど排出が増えて危険、ということではないのです。
また、IOM(米国医学研究所)の報告では、カフェインの利尿作用はすぐに耐性が付くと分かっているそうです。お茶やコーヒーを習慣的に飲んでいる人に働く利尿作用はわずかなもので、水分補給にお茶を選んでも問題はないのだとか。それどころか、豊富なミネラルを含むお茶は今でもスポーツドリンクに勝るとも劣らない熱中症対策になるのだとか。ここでは、代表的なお茶3種を水分補給の観点から見ていきましょう。

中毒リスクにも対応!緑茶による水分補給!

一部のお茶を除いて、ほとんどのお茶はカフェインが含まれています。給水とともに排出を促すことから、水分を蓄えるという点ではスポーツドリンクに一歩譲ると言えるでしょう。ただし、緑茶ならではの利点も十二分にあります。それは、カテキンによる殺菌効果。飲料を持ち運んでこまめに水分補給をする方がいますが、ペットボトルに一度口を付けると菌はたちまち増殖します(もちろん、温度の高い夏の時期は増殖率も高まります)。また、水筒などにスポーツドリンクを入れると酸によって内部の金属が溶けて中毒を起こすことも。炎天下で持ち運ぶ場合は、殺菌効果の強い緑茶が最もリスクの少ない飲み物だと言えるでしょう。

カフェインの少ないお茶!ほうじ茶による水分補給!

ほうじ茶は、煎茶や番茶を炒った(焙じた)お茶です。茶葉を炒る時にカフェインが飛散するため、利尿作用が強く働くことはありません。もちろん、緑茶と同じ茶葉ですからポリフェノールやフラボノイドを含み、カテキンによる殺菌効果も持っています。また、ほうじ茶はあっさりとした口当たりで嫌いな人が少ないと言われているお茶。それだけに多くの病院・介護施設で常用され、水分補給用に勧める医師もたくさんいます。

夏の定番!麦茶による水分補給!

大麦を原料とする麦茶は、厳密な意味でのお茶(狭義のお茶はチャノキという植物の葉や茎を原料としたもの)ではありません。それだけにカフェインが含まれず、利尿作用も働かないのです。麦茶の最大のメリットは、体温を下げる効果を持つこと。夏は大量の汗をかくことで水分だけでなくミネラル(ナトリウムやカリウム、マグネシウムなど)も対外に排出されますが、ミネラルの不足は体温調節機能を低下させます。麦茶はミネラルを豊富に含んでいるため、水分補給だけでなく体温調節にも一役買ってくれるのです。より効果を求めるのであれば、ひとつまみの塩を入れてみましょう。

空調がきいた部屋では、熱~い緑茶が効果的!?

ひと昔前は、屋外で作業をしている人も休憩時間に熱いお茶を飲んで「粋」を気取っていました。さすがにそれはお勧めできませんが、エアコンのある室内で過ごすことの多い人は別。熱いお茶をぜひ飲んでいただきたいと思います。熱いお茶には発汗を促す効果がありますが、空調のきいた部屋で過ごす人には汗をかくことがなによりの熱中症対策(もちろん水分補給も必要です)。この時期は、汗をかきやすい体をつくらなければ熱中症のリスクが上がります。ここでは、熱いお茶お勧めする理由をお話ししましょう。

汗をかきにくい体質の原因とは!?

汗をかきにくい体質には、複合的な原因が存在します。空調のきいた涼しい空間でのみ過ごしていると汗腺が発達しないこと、汗をかかない生活を続けると汗腺の働きが鈍くなること、加齢によって汗腺が衰えること、体内の水分が少ないこと、自律神経が乱れていること、などなど。
つまり、普段から汗をかく環境に身を置いていない人は、汗をかく機能が衰えるのです。汗を大量にかくことで水分が少なくなった状態は熱中症につながりますが、一方で汗をかくことそのものを止めてしまうと熱中症への耐性がなくなるとも言えるのです。

涼しい室内で、1杯の熱いお茶を!

屋外で運動をした場合は冷たい飲み物を飲むなど即効性のある対応をするべきですが、涼しい室内にいる時はぜひ熱いお茶を飲んでみましょう。熱いお茶で腸管を温めると脳は汗腺を開いて汗をかくように指令を出します。もちろんこの汗は気化熱を奪って体温を下げるため結果的に涼しく過ごせるのですが、それよりも重要なのは発汗機能を高めること。屋外で行動する時に正しく汗をかけるよう備えていれば、熱中症にかかるリスクも下げられるのです。

まとめ

今回は熱中症対策としてのお茶についてお話ししましたが、そもそもお茶には身体に良い健康成分がたくさん含まれています。がん予防やコレステロール値の低下、抗酸化作用、血圧上昇抑制などなど、1日2・3杯飲むだけで色々な病気のリスクを抑えることができるのです。この時期、熱中症対策は大切ですが、それだけにこだわらずぜひ定期的にお茶を楽しむことを忘れないようにしてください。