夏も冬も。天然の機能性飲料、麦茶が持つ様々な機能。
夏も本番真っ盛りで、暑い日が続いています。35度以上の猛暑日を記録している地域も多く、気象庁は熱中症への注意を連日呼びかけているのだとか。さて、そんな季節の定番と言えば麦茶。日本人にとってとても身近な存在ですが、実は優れた機能を持っていることをご存知だったでしょうか?今回は夏の定番、 麦茶についてのお話です。
1. 天然の機能性飲料、麦茶。
麦茶は、大麦の実を炒って香ばしくしたものをお湯で煮出して作ります。狭義でのお茶は「チャノキ」という植物の根や茎から作られるものですから、厳密な意味での日本茶ではありません(昭和以降は植物を加工して作った飲料全般をお茶と呼ぶようになりました。それ以前は「麦湯」と呼んでいたそうです)。麦茶の歴史は古く、平安時代から飲まれていたと言われています。平安貴族や戦国大名も、麦茶で暑い夏を乗り切っていたのでしょう。夏に飲まれるようになったのは味が原因だとされていますが(大麦の収穫時期は初夏なので、夏が一番おいしくいただけます)、昔の人は身体に良いことを察知していたのかもしれません。では、麦茶の機能をいくつかご紹介します。
身体を冷やす効果
暑い時期に発汗などで血中のミネラルが失われると体内の生理機能がうまく働かなくなり、身体に熱がこもります。麦茶に含まれたカルシウムや鉄は、これらを防止することができます。ある実験結果によれば、ミネラルウォーターより麦茶の方が大きく体温を下げたというデータもあるのだとか。その上、手足の先端部分の温度は下がらないため、冷え性でも安心して飲むことができます。麦茶は、熱中症対策にはとても効果のある飲み物です。
水分を適性に保つ効果
熱中症対策において気をつけたいのは、適度な水分を保つこと。しかし、利尿作用のある飲料を飲みすぎると、かえって体内の水分が不足することになります。カフェインが含まれるコーヒーや緑茶が熱中症対策に向いていないのはこのような理由。一方、麦茶はノンカフェイン。同じく利尿作用を持つカリウムが含まれていますが、その量は決して多くありません。また、大麦はリンパの流れを良くすることで老廃物を排出させ、体内の水分を適性に保つ作用を持っています。夏バテ症状が出た時、麦茶は心強い味方になってくれるでしょう。
2. ダイエットにも、生活習慣要望にも、麦茶!?
夏のイメージが強い麦茶ですが、その優れた機能は夏に限定されるものではありません。熱中症対策以外にも、実は麦茶を愛飲する理由はたくさんあるのです。例えば、ダイエットを助ける機能や様々な生活習慣病を予防する機能。夏に限らず定期的に摂取することで、麦茶は身体にとても良い効果をもたらすのです。ここでは、熱中症対策以外の麦茶の効果をご紹介します。
代謝を上げて痩せやすい身体に
麦茶には、ピラジンという血液をサラサラにする成分が含まれています。また、GAVAという血液中の中性脂肪・コレステロールを抑える成分も含み、血流を改善することができるのです。血流が良くなれば、体内のあらゆる場所に血液が巡ります。そして、血液が行き届いた身体は活発に動くようになり、代謝も上がるというわけ。エネルギー消費の激しい身体になるため、ダイエットにもつながります。
抗酸化作用が生活習慣病を予防
麦茶には活性酸素を撃退する成分、Pクマル酸も含まれています。活性酸素とは、他の物質を酸化させる酸素のことで、体内に入った酸素の数%が活性酸素に変化すると言われています。細菌やウイルスを撃退する役割を持っていますが、過剰に発生すると生活習慣病や老化を引き起こす原因になります。麦茶はPクマル酸によって活性酸素の発生を抑えるため、肥満や糖尿病、高血圧、脳卒中、がんなど様々な病気を予防することができるのです。
胃も、歯も守る
意外かもしれませんが、麦茶には胃の粘膜を守る働きがあります。それだけに、胃炎や胃潰瘍を患っている方も大丈夫。胃の粘膜を修復する効果、糖尿病の合併症を抑える効果、炎症を抑える効果も認められているそうです。また、麦茶は虫歯予防にも効果があります。ミュータンス菌(虫歯の原因菌)が歯に固着する際に菌膜の形成を阻害するため、虫歯になりにくくなるというわけ。麦茶は、食前に飲めば胃を守ってくれ、食事中・食後に飲めば歯を守ってくれるのです。
(まとめ)
麦茶の機能性、ご理解いただけたでしょうか?身体を冷やし、水分を適性に保ち、ダイエットを助け、生活習慣病を予防し、胃や歯を守る。麦茶には本当に色々な機能があります。夏だからなんとなく麦茶を飲んでいるという方も多いと思いますが、春夏秋冬、ぜひお供にどうぞ。余談ですが、麦茶は非常に足の速い飲み物。夏場は、室内に半日置いているだけで傷んでしまうこともあります(煮出して作った場合も、桶などに水を張ってやかんごと一気に冷やすことをお勧めします)。しっかり冷蔵庫に保存し、4日程度で飲み切るようにしてください。