緑茶(日本茶)が虫除けに効く!?緑茶の防虫効果。
梅雨時期から秋口まで、日本では様々な虫が活発に活動を始めます。その代表と言えるのが、ムカデ。北海道以外、日本全国どこにでも存在していて、田舎だけでなく都会でも被害があるのだとか。インターネットで検索すれば色々な人が困っていて、中にはお布団の中で発見した人も…。そんなネット上の記事の中で、気になる発言がありました。それは、「虫はお茶の香りが嫌いなので、侵入してきそうな場所に茶殻を撒いて予防する」というもの。今回は、お茶と虫除けについてお話しします。
1.緑茶(日本茶)の防虫効果!?
結論から言うと、日本茶の茶殻に驚異的な虫除け効果があるとは言えません。カテキンが持つ殺菌効果を拡大解釈して生まれた俗説だと言えるでしょう。残念ながらお茶の原料となるチャノキにも害虫は付きます。緑茶の香りを嫌う特定の虫はいるかもしれませんが、多種類の虫を寄せ付けない効果があるとは言えないのです。とはいえ、「おまじない」としては昔からお茶と虫除けには深い関係があったようです。ここでは、いくつかご紹介しましょう。
ムカデ除けの民間伝承!?
半紙に墨筆で「茶」という文字を書き、逆さまにして張っておくとムカデ除けになるという民間伝承があります。「茶」の文字を分解すると「十」「十」「八十八」になり、合計「百八」が「百足(ムカデ)」に効くという理屈なのだとか。この伝承の元となったのは、「ムカデにお茶をかけたら死んだ」という江戸時代のエピソード。お茶の渋み(カテキン)がムカデを弱らせるという説もありますが、熱湯をかければ大抵の虫は死んでしまうことでしょう。残念ながら、お茶の防虫効果の根拠になるとは言えません。
宗教行事でもお茶で虫除け!?
仏教には、灌仏会というお釈迦様の誕生を祝う行事があります。ここでは、甘茶を墨に混ぜて「千早振る卯月八日は吉日よ 神下げ虫(ムカデともウジ虫とも言われています)を成敗ぞする」と書き、逆さまに柱に張って虫除けを願うのだとか。甘茶とは、アガクアジサイの変種である「アマチャ」という植物から抽出したお茶のこと。残念ながら、科学的には防虫効果は認められていません。とはいえ、ひと昔前には全国的に行われていた風習だそうです。
2. 虫除けに効く植物とは!?
緑茶に著しい防虫効果は認められませんが、虫除けになると言われている植物はたくさん存在します。ハーブティーにも利用される様々なハーブたちです。ハーブは薬草と言われるだけあって様々な成分を含み、その中には虫が嫌うものも。化学的に作られた防虫剤は赤ちゃんやペットに悪影響を与えることがありますが、こちらは天然の成分ですから基本的に身体に害はありません。いくつかご紹介していきましょう。
ゼラニウム
ゼラニウムにはいくつか種類がありますが、蚊除けに使われるのはセンテッドゼラニウム(ニオイゼラニウム)というもの。フラワーショップでは「カレンソウ」「蚊除け草」という商品名でも売られています。蚊が嫌う臭いと成分を含んでいるため、ヨーロッパやオーストラリアではポピュラーな虫除けです。ただし、過度な期待は禁物。1鉢置いておくだけで蚊の侵入が防げるわけではなく、たくさん置く必要があるそうです。
レモングラス
シトラールという成分を含み、蚊除けに効くとされています。蚊・ハエ用の防虫スプレーに利用されるほど強力な天然成分ですが、こちらも鉢植えを置くだけで絶大な効果を実感するまでには至らないようです。より効果的に使うためには、精油したものを使うこと。ただし、妊娠中は悪い影響があるようですから、妊婦さんはご注意ください。
ミント
メントールが含まれるミントは、ゴキブリを含む多くの虫に効くとされています。その効果から、ハッカ油(ハッカソウを水蒸気蒸留した精油)を使った手作りスプレーを愛用している人も多いのだとか。ミント類は繁殖力に優れているため育てやすい植物ですが、増えすぎて困ることもあるのでご注意ください。
ペニーロイヤルミント
ミントの仲間で、非常に強いメントールを含んでいます。アリやノミ、カメムシなどへの防虫効果が証明されている一方、精油は非常に危険だとされています。精油を大量に服用すると発熱・発汗・頭痛・痙攣などを引き起こし、最悪の場合は死亡することも。また、古くは堕胎にも使われていたこともあるのだとか。ペニーロイヤルミントの精油を扱う場合は細心の注意を払ってください。
(まとめ)
残念ながら、緑茶(日本茶)の防虫効果に大きな期待はできません。「おまじない」程度で考えるようにしましょう。一方、ハーブ類の効果は科学的な根拠があるものです。ただし、天然の状態では劇的な効果が期待できるとは言えません。防虫効果が期待できる成分の濃度を高めなければ、物足りないと感じるはずです。大きな効果を期待するなら、精油を使用したスプレーなどを使いましょう。