日本茶の機能を最大限活用するための情報をお届けします!
発祥地である中国では、元々お茶は薬(解毒薬)として飲まれていたそうです。今日ではその効果が科学的に証明され、また日本では独自の文化としても発展し、欧米への輸出も盛んになりました。今や、私たち日本人とって日本茶は「あって当たり前のもの」。お茶の選び方や淹れ方、飲み方にこだわる人は意外と少ないのかもしれません。今回は、先人たちが残したお茶との付き合い方から、生活シーン別のおススメまで、日本茶の機能を最大限活用するための情報をお届けします。
1. 昔の人は偉かった!?ことわざ・格言・言い伝えのウソ・ホント。
お茶をにごす、お茶目、茶々を入れる、茶かす、お茶の子さいさいなどなど、日本には昔から「茶」にまつわる言葉はたくさんあります。また、現代においても、カテキンパワーで風邪予防、緑茶で消臭効果、ダイエット茶で脂肪燃焼などなど、「茶」にまつわる情報がたくさん出回っているのは言うまでもありません。なにかと目にする「茶」に関わる言葉・情報ですが、たとえや縁起かつぎの他にも、本当に意味のあるものもあります。ここでは、いくつかご紹介しましょう。
宵越しの茶を飲むな、ということわざは?
お茶に含まれるたんぱく質が、時間を置くと腐敗の原因となってしまうことからできた言葉です。お湯を注ぎたての時はタンニンがたんぱく質を保護していますが、水溶性であるタンニンはお茶を淹れた際にどんどん減少し、残ったタンニンも酸化が進んで解毒・殺菌効果が弱まってしまいます。昔の人は経験でそれを知っていたのでしょう。3~4時間放置した茶葉は食中毒の原因となるため、どうぞご注意ください。
朝茶はその日の難逃れ、ということわざは?
「朝のお茶は、その日の災難を除いてくれるから必ず飲みましょう」という意味のことわざです。ご存知の通り、緑茶にはビタミンCやカテキンなど健康に良い成分がたくさん含まれています。その上、朝にお茶を飲めばカフェインの効果で頭をスッキリさせ、判断力を向上させてくれます。失敗を防ぐために生まれたことわざだと言えるでしょう。「朝茶には福が増す」「朝茶は七里帰っても飲め」など他にも類似のことわざがたくさんあります。
お茶で薬を服用してはいけない、という情報は?
ひと昔前には、鉄剤がタンニンと反応して吸収しにくくなると言われていました。しかし、お茶に含まれているタンニンの量では特に影響がないというのが最新医学の立場だそうです。注意が必要なのは、カフェイン。鎮静薬、血栓予防の抗凝血薬、痛風薬、咳止め、交感神経刺激薬などの効果を抑えることになります。全ての薬がお茶での服用はNGということではありませんが、組み合わせ次第で問題が発生すると覚えておきましょう。
2. 日本茶の優れた機能を活かすためには、飲み分けることも大切。
日本茶には、カテキン類、カフェイン、テアニン、ビタミンC、ミネラル、サポニンなど様々な成分が入っています。それぞれ、殺菌効果や覚醒効果、癒し効果、疲労回復効果などがありますが、茶葉の種類や淹れ方などで成分の有無・強弱は当然異なります。また、茶葉の選択を誤ると、リラックスしたい時に覚醒効果を引き出すなど逆効果になる場合も。日本茶の優れた機能性を引き出すためには、生活シーンに合わせて飲み分けることも大切です。ここでは、朝・昼・晩のおススメのお茶をご紹介します。
朝に飲みたいお茶
「朝茶はその日の難逃れ」のことわざにある通り、カフェインの作用が目覚めを助けてくれます。おススメは煎茶や深蒸し茶。カフェインやタンニン(苦味成分)は温度が高いと溶けやすいため、熱いお湯で淹れましょう。また、熱いお茶は体内を温めるので体を動かしやすくなり、頭にも体にも良い作用をもたらしてくれます。二日酔い時にも有効で、カフェインが酔いを覚まし、利尿作用によりアセトアルデヒドの排出をうながします。
昼に飲みたいお茶
力仕事や大切な仕事、勉強には、朝と同様にカフェインの多い煎茶を。脳の活動を活発化させ、筋肉を刺激します。スポーツをする場合は20~30分前に飲むようにしましょう。また、汗をかいた場合や空腹時にはカフェインの少ない番茶や焙じ茶を。たくさん飲んでも大丈夫です。リラックスがしたくなったら、テアニン(アルファ波の発生を促進します)が多く甘みのある煎茶、深蒸し茶、玉露を。カフェインの抽出を抑えるために低温で淹れましょう。
夜に飲みたいお茶
油ものの多い夕食や、お寿司などの後には、カテキンの多い番茶、煎茶、深蒸し茶を。ポツリヌス菌、陽炎ビブリオ菌、黄色ブドウ球菌など食中毒の原因菌を殺菌し、口臭を抑えます。コレステロール値を抑えたい場合は熱いお湯で淹れるようにしましょう。リラックスタイムやお風呂後は、番茶や焙じ茶、麦茶などを。カフェインが少ないため睡眠を阻害することもなく、水分補給にも効果的です。
(まとめ)
いかがでしたか?今回は科学的な根拠のあるものをご紹介しましたが、縁起かつぎや迷信といった文化的なものを含めると更にお茶の世界は広がります。例えば、縁談の場でお茶を出すのはNG。冷やかすことを「茶かす」と言ったり、誤魔化すことを「お茶をにごす」と言ったり、芸者や遊女にお客が来ないことを「お茶をひく」と言ったり、なぜか「茶」を使った言葉にはネガティブなものが多いため、縁談の席では敬遠されるようになったのだとか。機能的には優れていても、文化的な観点から推奨されるもの・敬遠されるものがある、というのも日本的で面白いのではないでしょうか。興味をお持ちの方は、ぜひ調べてみてください。