【ワンランク上のお茶の楽しみ方】ブレンドティ(紅茶)作りのお誘い。


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紅茶は飲み方の自由度が非常に高い飲み物です。2種類の茶葉を混ぜてみるだけで、まったく違う紅茶が生まれます。その上、茶葉の種類を増やしたり、配合を変えたり、ハーブやスパイスを加えたりすれば、無限のパターンがあると言えるでしょう。今回は、オリジナルブレンドティ作りのお誘い。ワンランク上の紅茶を楽しむために、自分だけのオリジナルブレンドティを探してみるのはいかがでしょう?

1.ブレンドティとは?

市販の紅茶のほとんどは、複数の茶葉を使ったブレンドティです。ブレンドティという言葉には厳密な定義はありませんが、同じ産地・同じ時期に生産された茶葉以外のものが含まれる場合は全てブレンドティに含まれると言ってよいでしょう。元々、ブレンドティは紅茶の品質と価格を均一にするために生まれました。農作物である茶葉は、季節や年度によって味も品質も変化します。「まったく同じ栽培方法・まったく同じ製法で作ったのに味も値段も違うものになった」ということにもなりかねません。そこで、各紅茶ブランドは、いつでも同じ味の茶葉を同じ価格で提供するため、複数の茶葉を使ってオリジナルの味を提供するようになったのです。しかし、今や世界中の茶葉が簡単に手に入る時代。通販を使えば、紅茶ブランドを通さず茶園直送の茶葉を入手することも難しくはありません。また、紅茶専門店では茶葉を量り売りしている場合もあります。これらを利用すれば、家庭で本格的なブレンドティを楽しむことができるのです。

2.ブレンドの始め方

個人で楽しむブレンドティには、「こうでなければならない」というルールはありません。自分の好みに合うのであれば、どんな組み合わせでも構わないでしょう。代表的な組み合わせは、例えば「ダージリン ファースト+キャンディ」「ヌワラエリア+ダージリン セカンド+ウバ」「キーマン+ルフナ+アッサム CTC」などなど(ブレンド比率は個人の嗜好に幅があるため記載しません)。上手にオリジナルブレンドを作るコツは、理想の味・香り・水色を明確に定めること。目的が定まれば、適した茶葉も見えてくるはずです。また、後述の茶葉の個性を把握していれば、次回の改良に役立つでしょう。

渋みを強くしたい時は…

ダージリン オータムナル

ダージリンは、春摘みのファーストフラッシュ、夏摘みのセカンドフラッシュ、秋摘みのオータムナルフラッシュと収穫期によって分類されますが、オータムナルは3種のうちで最も重く、重厚な渋みを持っています。渋みに加え、香りの良さも付いてきます。

アッサムOP

OPとはオレンジペコの略称で、細くよじれた長い形状の茶葉を表す等級名(オレンジの香りがする紅茶という意味ではありません)。入手しにくい高級茶葉ですが、渋みと深い味わいの贅沢な1杯を演出できるでしょう。

ウバ

スリランカティでは珍しい強い香味を持つ茶葉。「ウバ・フレーバー」と呼ばれる特徴的で鮮明な香気があります。クオリティシーズン(旬の時期)の渋み、シーズン外の渋みは異なるので、使い分けるのも面白いでしょう。

香りを強くしたい時は…

ダージリン ファーストフラッシュ

香りの良さでは、紅茶を代表するダージリン ファーストフラッシュ。フレッシュ、フラワリー(花のような香り)、グリニッシュ(青草のような香り)と、多彩な要素を加えることができます。

ヌワラエリア

グリニッシュな香りに加え、フラワリー、フルーティーな香りも混ざっている茶葉。クオリティーシーズン外でもグリニッシュさが漂うため、1年中春を思わせるような香りを加えることができるでしょう。

キーマン

蘭や薔薇のような甘い香りを持つ茶葉です。ヨーロッパでは「東洋的」と評価され、「中国茶のブルゴーニュ酒」とも呼ばれてきました。2級品以下のものはスモーキーさが増すため、注意が必要です。

水色を濃くしたい時は…

キャンディ

やや濃いオレンジ色をした赤色で、鮮やかな輝きの水色が出る茶葉。水色の美しさでは世界トップクラスとも言われています。黒ではないため水色が濃くなりすぎることはなく、ブレンドする際には使いやすい茶葉だと言えるでしょう。

ルフナ

水色の特徴は、深みのある濃い赤色。ミルクを入れるときれいなクリームブラウン色が出るため、ミルクティに用いられることが多い茶葉です。スモーキーな香りを持つため、ブレンドする際は分量の調整には気を配りましょう。

CTC製法の茶葉

CTCとは「Crush Tear Curl」の略。茶葉を押しつぶし、引きちぎり、再び丸めて作られた茶葉のことです。CTC茶はオーソドックス製法に比べて水色が強く出るため、水色を調整するには非常に便利。粒が小さいほど、黒が強い赤色になります。

今回は紅茶のブレンドをご紹介しましたが、日本茶で同じことをするのはもう少し難しいかもしれません。昔から、日本茶は茶商(販売店)が独自の合組(ブレンド)を行い、その店ならではの味を提供するという形式で流通されてきました。基本的には紅茶と同じ仕組みです。合組の技術・センスが茶商の腕の見せ所であり、茶商の価値そのものだと言えるでしょう。ですから、ほとんどの場合、合組の配合は企業秘密。パッケージ化された商品に配合の内訳は表記されていません。皆さんのお手元に届く日本茶の多くは、各茶商が最も美味しいと考える(配合割合が不明な)ブレンドティになっているのです。その上、南方の多くの国で生産されている紅茶と違い、日本茶は国内(と一部の国)にしか茶園がありません。ブレンドされていない茶葉(紅茶ではピュアティ、日本茶では荒茶)を手に入れるのは比較的難しいと言えるのです。

「それでも日本茶でブレンドがしたい」という方は…

近年は単一産地・品種の日本茶もたくさん出てきました。「静岡茶」や「鹿児島茶」など、「産地+茶」と表記されているものです。ただし、十分に注意して購入しましょう。例えば「静岡茶」の場合、静岡産100%の場合だけ「静岡茶」の表記が可能です。しかし、内包量の半分以上が静岡産だった場合は「静岡茶ブレンド」などの表記が可能です。しっかり見極めてこれらを使えば、オリジナルブレンドティを作るのは不可能ではありません。