お茶の贅沢の最高峰!国宝の茶器をご紹介します。
こんにちは、ちゃのです。
皆さん、毎日お茶を楽しくお召し上がりでしょうか?言うまでもなく、お茶の道はとても奥深いものです。今回の更新は、奥深さの頂点のひとつ(?)「茶器」について書いてみたいと思います。あなたはご存知だったでしょうか?国宝の茶器の数々を…。
国宝その1 油滴天目茶碗(ゆてきてんもくちゃわん)
中国・南宋時代(12~13世紀)に作られた唐物茶碗。表面に油滴のように斑文が現れる天目(天目釉と呼ばれる鉄分を含んだ釉(うわぐすり)をかけて焼かれた陶器製の茶碗)を油滴天目と言いますが、国宝のものは茶碗の内外に金・銀・紺の斑文がびっしりと現れた優品です。関白・豊臣秀次(秀吉の養子)、西本願寺、三井家、若狭酒井家と所有が移り、現在は大阪市立東洋陶磁美術館が所蔵しています。
国宝その2・3・4 曜変天目茶碗(ようへんてんもくちゃわん)
中国・南宋時代(12~13世紀)に作られた唐物茶碗。漆黒の器で内側には星のように見える瑠璃色の斑紋が浮かんでいます。現存するものは世界でわずか3点しかなく、全て日本の国宝になっています。そのため、「天下三碗」と呼ばれることも。徳川将軍家から淀藩主・稲葉家に渡ったもの(静嘉堂文庫美術館所蔵)、津田宗及(茶の湯の三大宗)の子・江月宗玩から大徳寺に渡ったもの(大徳寺龍光院所蔵)、徳川将軍家から淀藩主・稲葉家に渡ったもの(静嘉堂文庫美術館所蔵)があります。
国宝その5 玳玻盞散花文天目茶碗(たいひさんさんかもんてんもくちゃわん)
中国・南宋~元の時代に作られた唐物茶碗。釉調(釉の仕上がりの状態や、長年月の経過で風化し表面に顕れる経年変化などのあらわれ方のこと)が鼈甲(べっこう)に似ていることが、その特徴。松江藩主で江戸時代の代表的な茶人・松平不昧が所持したことでも有名だそうです。現在は、承天閣美術館が所蔵しています。
国宝その6 大井戸茶碗 喜左衛門井戸(おおいどちゃわんきざえもんいど)
李氏朝鮮時代の朝鮮半島で焼成された高麗茶碗。元々は日用雑器だったこともあって一見素朴な見た目ですが、侘・寂を尊ぶ日本の茶人たちを魅了したそうです。こちらも松平不昧が所有していました。現在は、大徳寺孤篷庵が所蔵。
国宝その7 志野茶碗 卯花墻(しのちゃわんうのはながき)
日本で焼かれた茶碗で国宝に指定されている2碗のひとつ。桃山時代に美濃の牟田洞窯で焼かれたもので、歪んだ器形・奔放な篦削り(へらけずり)・釉下の鉄絵(鉄を含有する顔料で絵文様を描く技法)などが特徴。柔らかな質感、温もり、淡雪のような色合いは、日本の焼き物の中でも特異な陶器だと言えるでしょう。現在は、三井記念美術館が所蔵しています。
国宝その8 白楽茶碗 不二山(しろらくちゃわんふじさん)
国宝に指定されている和物茶碗の、もう一方。桃山時代から江戸時代にかけて活躍した書家・陶芸家・芸術家、本阿弥光悦の作品です。雪の残る富士山を連想して手捏ねで作成した「ふたつとない茶碗」という意味で命銘されました。一方で、釉薬に灰がかかり、偶然窯の中で茶碗の下半分が炭化して黒色に変色したとも言われています。現在は、サンリツ服部美術館が所蔵。
国宝その9 色絵藤花文茶壺(いろえふじはなもんちゃつぼ)
優美な陶器を次々と生み出した江戸時代前期の陶工、野々村仁清の最高傑作。巧みなろくろの技術と華麗な上絵付けが特徴で、京風文化の象徴的作品とも言われています。現在は、MOA美術館が所蔵。余談ですが、仁清作の「仁清色絵雉香炉」も国宝に指定されています。
いかがでしたか?現在、陶磁器の国宝は14点。その内の9点をご紹介しました(残りの5点は香炉や花生。こちらも茶器と呼べるものですが、今回は割愛しました)。国宝ということもあって名称や用語が難しいものも多いですが、じっくり見ていると漢字の並びにさえ風情を感じます。お茶を楽しむ者として、一度はこれら国宝を使ってみたいものですね。興味をお持ちになった方は、所蔵美術館に足を運ばれてはいかがでしょうか。